第37章 #37 夢の終わり
「何さ!」
「いつかは知る事になるだろうが真実を告げるのが早過ぎた。今まではエルヴィンの夢の真実がまだ分からねぇから何とか生きていたが、夢が叶ったアイツにはもう生きる気力が完全になくなった」
「でも……」
「リリアに次の一歩を踏み出してほしいのは分かるが少し待て」
ハンジはリヴァイの言う通りリリアに早く次の一歩を踏み出してほしかった。
だから地下室で見つかったこの壁の中の真相をいち早くリリアに教えたかった。
エルヴィンがいなくなりツラいのは分かるが、今の夢を終わらせ、どうかリリアの明るい未来に向けて歩き出してほしいのだ。
しかし少し急ぎ過ぎたようだ。
「それにお前さっき内心キレたろ」
「……悪かった…」
「俺に謝っても仕方ねぇだろ。とにかく今はそっとしとけ」
リヴァイが体を反転し部屋に戻ろうとするとハンジが引き止めた。
「もう無理だって思わないの?あんなに落ち込んで本当にこの先また元気になると思えるのかい?」
「……そんなの分からねぇよ。でもここで突き放したらそれこそ可能性消すだろ」
「……ほぼ24時間毎日側について今のところ変化ないのに…むしろ悪化してる。どうしてそんなに頑張れるのさ。いくらエルヴィンに頼まれたからって…」
少し沈黙し、リヴァイは再び口を動かす。
「……ただ俺が側にいたいだけだ」
そう言うと一人病室へと戻っていった。
残されたハンジが悔やむように息を吐き項垂れる。
自分もリリアを思っていたつもりだったが甘かった。
逆にリリアを追い詰めてしまったのだ、後悔がハンジを襲う。
「ごめん……」