第36章 #36 生きろ!
「なぁ、このままエルヴィンの所に行く気か?」
リヴァイがリリアの前髪をソッと撫でる。
「いいのか?それで。父親の仮説の答え合わせをしないままエルヴィンの所に行って……俺達は真相を知ったぞ。お前は知らなくていいのか?」
当然、リリアからの反応はない。
しかしリヴァイは続けた。
「兄が出来なかった事を代わりにやるのが、残された妹の仕事じゃねぇのか?エルヴィンは見てるぞ、お前の目から……全部」
世界の事も
お前の幸せも……
「だから…ちゃんと見せてやれよ、エルヴィンに。アイツが見る事が出来なかった事を」
するとリリアが目をうっすら開け、それを見たリヴァイはリリアの右手を握った。
やっぱり最後は
お前の言葉じゃないと
コイツは言う事聞かないだろうな
リヴァイは苦笑いをして再びリリアに話しかけた。
「リリア、特攻前にエルヴィンからリリアがどうしても心を開かなかったら伝えてくれと言われた言葉がある。一回しか言わねぇからよく聞けよ」
『リリア、リヴァイの言う事を聞きなさい』
リヴァイがフッと笑う。
「笑えるだろ?最後に伝えたい言葉が俺の言う事を聞けってよ。俺が何を言うかも分からねぇのに…。どれだけ俺の事信じてんだよ」
その時だ。
微かだが握っているリリアの手がほんの少しだけリヴァイの手を握り返していた。
「リリア聞け、生きろ!」
その言葉を聞いたリリアは一筋の涙を零した。
「ったく……やっぱり最後はエルヴィンかよ。バーカ…」
リヴァイは側に置いてあった水の入ったコップを手に取るとリリアの上半身を起こして少しずつ、少しずつ水を飲ませた。
とりあえずコップ一杯飲ませたリヴァイはリリアを再び寝かせ頭を撫でる。
「ちゃんと俺が側にいる……もう泣くな」