第36章 #36 生きろ!
病院に向かいリリアのいる病室に入るとリヴァイは目を疑った。
リリアの体は両足、右腕、そして口、全て拘束されていたのだ。
「オイオイオイ……これは一体どういう状況だ」
「あ……リヴァイ兵長。すみません…」
「オイ、コラ。これはどういう事だ?」
リヴァイに気付き、近くに来た救護兵をリヴァイは問い詰めた。
この拘束はあまりに酷すぎる。
「仕方がないんです…足を自由にすれば飛び降りようとするし、手を自由にしたら首を切ろうとする。口を自由にしたら舌を噛み切ろうとするんです」
「だからって…これじゃあ……水も飲めねぇじゃねぇか」
リヴァイがリリアに近付く。
拘束されても暴れたのか、足や腕には痛々しい跡が付いていた。
布を噛まされているその口から微かに声が漏れる。
「……助け……て………おに……ちゃ…怖…い」
「……リリア……もうエルヴィンはいねぇよ……」
近くにあった椅子をリリアの横に付けると、リヴァイは座り、リリアの頬を撫でた。
「現実を受け止めろ……リリア」
それから1日経っても、2日経っても、リリアが起き上がる事はなかった。
食事も摂らず、水も飲まず、もう限界が近付いている。
もうこのままだと死を待つだけだと医師からも告げられた。
しかしリヴァイは毎日出来る限りリリアの側にいた。
その日も変わらずリヴァイはリリアの元に足を運んでいたが、もう彼女の呼吸は消えてしまいそうな状態だった。
こんなに弱った状態で拘束されていてはあまりにも哀れだ、廊下を歩いていた救護兵にリヴァイが声を掛ける。
「オイ、リリアの拘束を解いてくれ」
「しかし……」
「もう暴れる力もねぇよ、だから解いてくれ」
分かりました、とリリアの拘束がようやく解かれた。
リヴァイの言う通り、もうリリアには暴れるような力も体力も残っていない。
リヴァイは椅子に座りリリアを見つめた。