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誰が為に心臓を捧げる【進撃の巨人】

第36章 #36 生きろ!



「もう離れろナイル。リリアは今記憶が行ったり来たりしていて不安定だ。下手すると戻ってこれなくなる。特にお前は昔からの馴染みだろ。リリアが甘えだすからもうやめてくれ」

ナイルが立ち上がると、リリアは助けを求めるようにナイルに手を伸ばす。その姿にナイルは心が痛んだ。自分には何も出来ない。

「ナイル兄ちゃん!!」
「リリア落ち着け。ハンジ、俺はこのままリリアを病院に連れて行く。報告は頼んだぞ」
「あぁ」

リヴァイはリリアを担ぎ上げると病院に向かって歩き出した。しかしリリアが大人しくするわけもなく、リヴァイから降りようと暴れている。


「嫌だーーー!!離してぇぇぇ!!!お兄ちゃんに会わせて!!ナイル兄ちゃん助けて!!痛いよぉぉ!!怖いよぉぉぉ!!!」
「リリア!!暴れんなっ!落ちる!!」

次第にリリアは動かなくなり、再びグッタリとしてリヴァイに連れて行かれた。
先程からそれの繰り返しだ。意識が戻っては暴れ、力尽き、また起きては暴れる。
しかも記憶が昔と今とごちゃ混ぜになり、幼い記憶が戻るとああやってエルヴィンを探し出す。


「エルヴィン……どうしてリリアちゃんを置いていったんだ……生きて帰ってきてほしかった…」
「………」


ハンジには何も言えなかった。
ただただ黙って二人の後ろ姿を見送る事しかできなかった。



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