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誰が為に心臓を捧げる【進撃の巨人】

第35章 #35 さようなら



再び訪れた沈黙にリヴァイがふっと瞼を閉じた。
彼の疲れもピークだ、少しだけ力を抜きたかったのだろう。
しかしこの隙をリリアは見逃さなかった。

立ち上がったリリアは全力で走り出した。

壁の端に向かって。
リヴァイが目を見開く。


「しまっ……」

(完全に油断した!!まずい……飛び降りる!!この高さから飛び降りたら、絶対に助からない)

リヴァイは慌てて立ち上がるとリリアを追いかけた。

「リリアっ!!!止まれ!!!止まれぇぇぇ!!」

「リリア!!リヴァイ!!!」

その騒ぎに皆が振り返り、息を飲んだ。
壁の端ギリギリの所でリヴァイがリリアに追いつき抱き止めたが勢いで止まれず、二人ともが壁から落ちた。


「っ?!」

ハンジやジャン、コニーが駆け寄り下を見下ろす。

「兵長っ!!!」


リヴァイは落ちていく中、意識のなくなってしまったリリアをギュッと抱きしめた。
そしてもう間に合わないような所まで落ちてから立体機動のアンカーを壁に刺した。
地面に直撃はしなかったが、途中でアンカーが抜けたためにリヴァイが下になり地面に強くぶつかった。

「いっ……」

リヴァイが頭を押さえながら起き上がると、ハンジが慌てて上から降りてきた。

「大丈夫かい?」
「……あぁ」
「リヴァイ…どうして早くアンカーを撃たなかったの?」

落ちてすぐにアンカーを刺さなかったリヴァイを見てハンジからはリヴァイがわざとアンカーを出さなかったように見えたのだ。

「……一瞬だが……このままリリアと死んでもいいと思った」
「リヴァイ……」

リヴァイは胸の中にいる意識のないリリアの頭を撫でた。

「こうなったのは…俺のせいでもある。無理矢理リリアからエルヴィンを奪ったからな」
「でも……」
「後悔はしてねぇよ…だから……」



"お前に最後の命令だ。リリアを頼む…あの子の命尽きるまで"



「俺が守る」



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