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誰が為に心臓を捧げる【進撃の巨人】

第35章 #35 さようなら



「……このまま…殺して」
「リリア…」
「私も一緒に殺して……お願い……殺して…お兄ちゃんと一緒にいたい…お兄ちゃんの側にいたい……お兄ちゃんと……まだまだ一緒に……」
「……すまねぇ。お前が生きるのがエルヴィンの願いだ。それは聞けねぇ」

リリアの目から涙が流れる。

そうだろうとは思った。

何となくエルヴィンの口ぶりからして自分を連れて行こうなど思っていない、と。
何故なら自分も言ったからだ。
もし、自分が死んでエルヴィンが生きていたら、夢に向かって進んで欲しい、生きて欲しいと。


完全に抵抗するのをやめた事を確認したリヴァイはリリアから手を離した。
とにかくリリアの止血をしないといけない。もう彼女の顔には血の気がない。

「リヴァイ、フロック。リリアの止血は私がやるから。エルヴィンの体を安全な所に寝かせてきてくれないか」
「あぁ、分かった」

リヴァイがリリアから離れ、フロックと共にエルヴィンの体を持ち上げようとしたその時だ。
リリアがそれを止めた。

「待って」
「なんだ」

痛そうに顔を歪めながら立ち上がると、リリアはエルヴィンの側に立ち膝をついてしゃがんだ。
頬に優しく触れ撫でると、ゆっくりと近付き冷たい唇にキスをした。


「……エルヴィン……愛してる」


ハンジとリヴァイが視線だけを合わせる。



あぁ……
やはりこの二人は兄妹だけの関係ではなかったのだと
今、確信した


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