第35章 #35 さようなら
「やめろリリア!」
「うあぁぁぁ!!!!許さない…嫌い!!嫌い!!」
ハンジとフロックは見ていることしか出来ない。とても二人の間に入る隙がないからだ。
リリアがリヴァイの胸元を掴むが片方の腕がないために殴れない、それをリヴァイも分かっていて油断したのか一瞬の隙をつきリリアが掴んでいた腕を引き寄せ、リヴァイに向かって思いっきり頭突きをした。
「っ?!」
ゴッという鈍い音がし一瞬リヴァイの視界が飛びフラついたが、足を踏ん張るとリリアの頭を掴み足元の屋根に力強く押し付けた。
後頭部を強く打ちリリアが咳き込む。
「やめろ!リヴァイ!!」
「本気で相手しねぇとこっちが殺される。安心しろ、俺は殺さねぇよ」
ハンジが崩れ落ちた。二人のこんな姿を見たくない。
今までとても仲が良く、仲間として信頼しあっていたこの二人の戦う姿など。
リヴァイに顔面を押さえられながらも必死にもがくリリア、左腕は止血が出来ていないためにどんどんと血が流れている。
放っておけばいずれ出血多量で死ぬだろう。
「大人しくしろ。暴れれば暴れるほど出血する」
「うぅぅぅぅ!!!」
しかし止まらないリリアは足をバタつかせ起き上がろうとする。
それさえもリヴァイに押さえられ完全に動きを封じられた。
「諦めろ。今のお前に俺は殺せねぇよ」
「うぁぁぁぁぁぁああぁぁ!!!リヴァイ!!リヴァイ!!!離せよ!!殺す!殺す!!」
「やめろよ!!!」
ハンジが叫んだ。
「やめろ……あんた達二人が殺し合ったら……エルヴィンが悲しむ……誰よりも信頼してた二人が殺し合ったら!!エルヴィンが!!悲しむよ……」
その言葉にリリアが動きを止め、体から力を抜いた。