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誰が為に心臓を捧げる【進撃の巨人】

第34章 #34 決断



「黙ってて!!」
「黙ってられるか!お前らばっかりがつらいと思うなよな!!」

エレンやミカサはまだ知らない。
壁の向こうで戦っていた兵士達はもう誰もいない事。
獣の巨人の投石で誰もが助からないと思った。
しかしエルヴィンだけは違った。あの状況で獣の巨人の喉笛に喰らい付く算段を立て、実行した。そして作戦通り、皆バラバラに砕けた。

皆が最後に感じたのは恐怖だけだったろう。


「まだ息のある団長を見つけた時はトドメを刺そうとした」

リリアが目を見開く。

「でも…それじゃあ生温いと思った。この人にはまだ地獄が必要なんじゃないかって」

それを聞いたリリアの手が震え、振り上げた右手を降ろした。

「そして分かったんだ。巨人を滅ぼす事が出来るのは悪魔だっ!!悪魔を蘇らせる!それが俺の使命だったんだ!!」
「……やめて……やめてよ……」

リリアの目に涙が溢れる。
分かっていた、こうして悪魔呼ばわりされ恨まれるだろうと。
しかしエルヴィン無しに人類はここまで来れなかった。彼がいたからこそここまで来れたのだ。

「だから邪魔するなよ!!!」
「よせっ!!!」

フロックがミカサに向かって飛び出した。ミカサもフロックに向かって刃を振ろうと構えたその時だった。
追い付いてきたハンジがミカサを後ろから止めた。

「ハンジ…!」

ジャンやコニーも合流し、目にしたアルミンの姿に絶望した。

リヴァイは箱から注射器を取り出すとエルヴィンの方を向いた。早く打たなければエルヴィンが死んでしまう。
ミカサが泣き叫ぶがリヴァイは聞こうとはしない。

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