第5章 #05 殺された被検体
二人が急ぎ現場に向かうと報告通り二体の巨人が殺され、辺りは蒸気に満ちていた。
「そんな……昨日立ち寄った時には何にも…」
「……」
「夜明け前にやられたみたいです。見張りが気付いた時には立体機動で逃げられました」
エルヴィンが眉をひそめる。
しばらくするとハンジとリヴァイ班の全員が知らせを受けたのか馬を飛ばしてやってきた。
ハンジはもはや顔が真っ青だ。
「うぁぁぁぁぁ!!!ソニー!!ビーン!!!嘘だと言ってくれぇぇぇ!!!」
ハンジの叫びが辺りに響く。
「全員の立体機動装置を調べろ」
「はっ!」
リリアが二体の死骸を見ていると、リヴァイが近寄りオイ、と話しかけた。
リリアは視線だけをリヴァイに向ける。
「どういう事だこれは」
「こっちが聞きたいよ。昨晩寄った時には何もなかった。夜明け前にやられたみたい」
「リリア兵長…」
リヴァイの後ろからエレンが心配そうに声をかけた。
「昨日の夜にハンジさんから話を聞いていたので…」
リリアは柔らかく笑うと心配いらないとエレンの肩を叩こうとしたが、それを見たリヴァイがリリアの手を叩き、エレンから離れさせた。
リヴァイのその行動にリリアが目を見開く。
「行くぞ、あとは憲兵団の仕事だ」
「ちょっと…リヴァイ……」
二人がその場を離れるとエレンは一人、巨人の死骸を見つめていた。
すると後ろから近付いてきたエルヴィンが肩を掴み、耳元でエレンに問いかける。
「君には何が見える?敵はなんだと思う?」
「は……」
エレンは何も答えられない。
エルヴィンが何を言っているのかが理解が出来ないからだ。
「すまない、変な事を聞いたな」
解答が返ってこない事が分かり、エルヴィンはゆっくりとエレンから離れ、リリアとリヴァイのいる方へ歩いていった。
エレンがエルヴィンの後ろ姿を見つめる。
一体エルヴィンは自分からどんな回答が欲しかったのだろうか……