第34章 #34 決断
「頑張れ!!もっと息吸え!!!兵長!!注射を早く!!」
しかしリヴァイは中々注射を出そうとしない。
出せない理由がある。
もう少し…もう待ったらもしかしたら……
「アルミンを巨人にしてベルトルトを喰わせるんですよ!!早く注射を下さいっ!!」
「………あぁ…」
リヴァイは躊躇しつつ、ゆっくりと注射の入った箱を取り出した。そしてそれをエレンに渡そうとしたその時だった。
屋根の上をフロックがエルヴィンを担いで登ってきたのだ。
「リヴァイ兵長……やっと追い付いた。エルヴィン団長が重傷です。腹がえぐれて内臓まで損傷している為、血が止まりません」
「っ?!お兄ちゃん!!」
「例の注射が役に立てばと思ったのですが…どうでしょうか!」
リヴァイは渡そうとしていた手を引いた。
「兵長?」
フロックからエルヴィンを預かると、リヴァイはエルヴィンの呼吸を確認した。
まだ息はある、生きている。今なら注射を使えばエルヴィンは助かる。
しかしアルミンもここで注射を打たなければ死んでしまう。
注射は一つだ、どちらかを選ばねばならない。
リヴァイは立ち上がった。
「この注射はエルヴィンに打つ」
その瞬間、エレンがリヴァイに立ち塞がる。
「さっき……アルミンに使うって……」
「俺は……人類を救える方を生かす」
するとミカサが刃を抜いた。
それを見たリリアが立ち上がり、ミカサの前に立つ。
このままだとミカサがリヴァイを襲いかねない、リリアもエルヴィンを助けたいのだ。