第33章 #33 心臓を捧げよ
新兵達は馬に乗り特攻の最終準備をしていた。
リリアが馬に乗ろうとしたその時、エルヴィンが名前を呼んだ。
「リリア、リヴァイ」
二人に向かって手招きをする、時間がないのにどうしたのだろうか、リリアとリヴァイは首を傾げながらエルヴィンの元に歩んだ。
「二人とも、前に並べ」
「?」
言われた通り、リリアとリヴァイが並んでエルヴィンの前に立った。
するとエルヴィンは二人を左腕でギュッと抱きしめた。
抱きしめられ、リリアとリヴァイの頬と頬がぶつかる。
二人は突然の事に目を見開いた。
「なっ!!エルヴィン!何しやがる!離せっ」
「お兄ちゃん?」
「……俺は、こんなに素晴らしい兵士長二人に出会えて幸運だったな」
「はぁ?」
「お兄ちゃん……?」
目を閉じてエルヴィンは心の中で呟いた。
二人とも……後は頼んだぞ
エルヴィンはゆっくり二人から離れると苦笑いをした。
「お前達、身長が同じだから抱きしめやすいな」
「んなっ!!」
「………ふふ」
「さぁ、行こうか」
チッと舌を打ち、顔を赤くしてリヴァイがその場から離れていった。
後ろから見える耳まで真っ赤になっているのが見える。
リリアとエルヴィンは笑ってリヴァイを見送った。