第33章 #33 心臓を捧げよ
「リリア」
「うん…」
エルヴィンがリリアの手を握る。
「怖くないか?」
リリアは首を振った。
「……泣いてるのに?」
無意識に涙が流れていた。突撃する事に恐怖はない。
ただ、エルヴィンとここで最後になるかもしれないと思うと、それは怖かった。
「約束……守れなかったらすまない」
「まだ、分からないでしょ?」
「そうだな」
「それに…例え死んでもすぐに会いに行くから、大丈夫!」
エルヴィンがリリアの頬を伝う涙を指ですくった。
それは無い、と心の中で言う。お前はこれから先の未来をちゃんと生きるのだから。
「リリア、お前に会えて良かった」
「うん……」
「今までありがとう」
「だから……まだ分からないってば…」
「リリア………愛してるよ」
交わした口付けは震えていた。
あぁ……本当に
なんて残酷な世界なんだろう……
そして
エルヴィンを先頭に獣の巨人に向かっての特攻作戦が開始された。
「進めーーーー!!!!」