第32章 #32 ウォール・マリア奪還作戦開始
あぁ、そうだった。
俺にはリリアがいた。
この子がいたから今日ここまで自分を騙し続けてこられた。
何があっても俺の夢を叶えると言ったリリア、俺は彼女をもここまで自分の駒として使ってきた。
彼女の自分に執着している想いを利用していたようなものだ。
そう、俺は大事な妹でさえも騙していた。
でも……俺は本当に……
「リリア……」
「お兄ちゃん?大丈夫?」
エルヴィンはリリアの頬を撫でた。
「俺はリリアを愛している……」
「…………分かってるよ。大丈夫、私がいるから。一人じゃないよ」
「っ?!」
言葉に詰まる。
エルヴィンはギュッと目を閉じ、リリアの頭を抱きしめた。