• テキストサイズ

誰が為に心臓を捧げる【進撃の巨人】

第32章 #32 ウォール・マリア奪還作戦開始



エルヴィンの読み通り鎧の巨人はエレンを追いかけ、再び壁を降りていった。

「行ったね」
「あぁ」

あとはハンジとアルミンの指示で彼らの勝利を願うのみ。
エルヴィンは壁の上から戦況を見つめた。


3、4メートル級に苦戦し、数箇所で負傷者を出している。今の調査兵団に以前のような力はない。
しかしそれだけの損害がなければ、決してここまで辿り着けなかった。


エルヴィンは過去を思い出す。
訓練兵時代はよく自分と父の仮説を仲間に話していた。
しかし調査兵団になった途端にその話をしなくなった。
エルヴィンは気付いていた。



自分だけが己の為に戦っているのだと。
自分だけが己の夢をみているのだと。


そして部下を持ち、彼らを鼓舞した。
人類の為に心臓を捧げよ、と。


そうやって仲間を騙し、自分を騙し、築き上げた屍の上に自分は立っている。


それでも脳裏にチラつくのは地下室の事。
この作戦が失敗しても死ぬ前に地下室に行けるかもしれない。
グリシャ・イェーガーが残した地下室、世界の真相に。



するとパシッとリリアがエルヴィンの左手を掴んだ。
我に返ったエルヴィンがリリアを見ると、彼女は強い眼差しでエルヴィンを見つめていた。

/ 1007ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp