第31章 #31 夢のため
「リヴァイの言いたい事も分かるのだがな…」
「でも留守番なんて出来ないでしょう?お父さんの仮説を証明するのはお兄ちゃんの夢だよ。その為に今までやってきた」
リリアはしゃがむとエルヴィンの手を握った。
「お兄ちゃん…」
「あぁ…大丈夫だ。それよりもリヴァイの所へ行ってやりなさい。きっと一人で色々考えているから」
「お兄ちゃんは?」
「俺は少し一人になりたい。すまないな…」
分かった、とリリアが立ち上がるとエルヴィンがリリアを引き止める。
「リリア」
「何?」
「リヴァイと喧嘩するなよ」
「しないよ」
おやすみ、と言ってリリアは部屋を後にした。
一人部屋に残ったエルヴィンは上を向いて息を吐き、左手を伸ばした。
もう少し、もう少しだ。
だからここで足を止めるわけにはいかない。