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誰が為に心臓を捧げる【進撃の巨人】

第31章 #31 夢のため



その後、別の部屋に調査兵団の班長らと、ハンジ、リヴァイ、リリアが集まり、エレンがレイス領の地下でヒストリアとロットに触れられた際に見た記憶の中にいた人物、調査兵団訓練兵教官、キース・シャーディスから聞いたエレンの父親グリシャ・イェーガーについての報告をハンジから各班長、そしてエルヴィンに告げていた。

その報告書にはグリシャ・イェーガーは壁の外から来た可能性が高いという言葉が書かれていた。

「彼はアニやライナー、ベルトルトと同じように彼は巨人の力を持っていた」

そう、グリシャ・イェーガーは巨人の力を持っていた。
5年前、巨人化する注射をエレンに打ち、自分を喰わせ、エレンに巨人の力を引き継がせたのだ。

「でもその3人と違うのは壁の中の人類に協力的だったって事」
「調査兵団に興味を持ってたって話なら、もっと協力してくれても良かったんだがなぁ」
「どうかな。おそらくはこの壁に入ってから独力で王政を探るなどしていたんだろうし、いずれにしても凄まじい意識と覚悟がなきゃ出来る事じゃない。そんなお父さんが調査兵団に入りたいと言った10歳の息子に見せたかった家の地下室」

リリアは眉をひそめた。

「死に際にそこに全てがあると言い残した地下室…。そこには一体何があると思う」

エルヴィンはハンジを見ていた視線を下げ、父親の事を思い出していた。
そしてゆっくりと口を開く。

「言ってはいけなかった事。いや、グリシャ・イェーガーが言いたくても言えなかった事、つまり初代レイス王が我々の記憶から消してしまった世界の記憶……だと思いたいが、ここで考えたところで分かる訳がない」

顔を上げ、エルヴィンは皆を見渡した。

「本日で全ての準備は整った。ウォール・マリア奪還作戦は2日後に決行する。地下室には何があるのか、知りたければ見に行けばいい。それが調査兵団だろう?」

皆、笑顔でエルヴィンを見つめ返した。
その通りだ。
今までそうしてきたのだ、分からない事だらけの外の世界、それを自らの足で向かい、確かめてきた。
ならば今回だってそうだ、分からなければ行けばいいのだから。

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