第31章 #31 夢のため
「あ?何でだ」
「確かに他の兵士と比べればリリアも生存率は高い。しかしリヴァイとリリアを比べたら一目瞭然だろう?誰が見てもリヴァイの方が生き残る」
眉をひそめながらリヴァイはエルヴィンを見ていた。
絶対に理由は違う、するとリリアが口を開いた。
「団長が言いにくそうだから私が代わりに言いますけど、例えばの話、もし敵との戦いが激化して私が生き残っても団長が死んでいたら、私は使い物になりません」
「あ?意味が分からねぇよ」
「そのままの意味だけど」
「リヴァイ」
エルヴィンが名前を呼ぶ。
「もし私が死んだ場合、団長補佐であるリリアは……いや、妹は私と共に連れて行く」
「はぁ?」
「……これはこれは…」
ピクシスが首を振った。
今の発言は要するに自分が死んだらリリアも死なせて連れて行くという事だ。
「エルヴィン、お主は自分が死ぬ時はリリア兵士長の命も持っていくと言っておるのか?」
「その通りです」
リヴァイの眉がピクリと動く。
「この際ですからお伝えしておきますが、リリアの原動力は私です。自惚れでも何でもない、精神的な面で私の存在が彼女を動かします。私が死んだ場合、おそらくこの子は何も出来ません。その場でも、その先も」
「だから、自分が死んだらリリアも殺すって事?使い物にならないから。言い方悪いけど」
「そうだ」
ハンジの問いにエルヴィンは一言で返す。
「テメェは妹の命を何だと思っている」
「二人で決めた事だ。口出しはしないでくれ」
チッとリヴァイは舌を打った。明らかに機嫌が悪い。