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誰が為に心臓を捧げる【進撃の巨人】

第30章 ●#30 祝福される嬉しさ



すでに時間は深夜を回っていた。
静まり返った兵舎、見張りの兵士が数人立っているだけで出歩いている者はいない。
酒が入り少しだけ酔ってしまったエルヴィン、勿論意識はしっかりしている。

自分の部屋へと戻りベッドを見ると布団が膨らんでおり規則正しく上下に動いている。
ベッドの端に座り布団をそっと捲るとリリアが寝息を立てて眠っており、エルヴィンは柔らかく微笑むとリリアの頰を優しく撫でた。


「ん……お兄ちゃん?」
「すまない、起こしたな」
「お帰りなさい……」
「ただいま。湯を浴びてくるから寝てていい」
「ん……」

まだ眠いリリアは再び寝息を立ててしまった。
それを確認しエルヴィンは立ち上がると湯を浴びた。

酒に強いエルヴィン、かなりの量を飲んでもなかなか酔わないが何故か今回だけは軽く酔い、酒のせいでか気分が良い。

部屋に戻ると机の上にたくさんの書類があるのが目に入る。見るとまだ新しい、おそらく自分が出掛けた後に追加で入ってきた物だろう。
エルヴィンの代わりにリリアが仕事をしてくれていたのだ。
それを見ていると後ろからリリアが声をかけた。

「……それ…まだ途中なの。結構量が多くて…」
「いいよ、あとは俺がやる。代わりに頑張ってくれてありがとうな」

起き上がろうとしたリリアにエルヴィンが起きなくていいと静止する。
するとエルヴィンがゆっくりとリリアの上に覆いかぶさってきた。


「ナイル兄ちゃん驚いてた?」
「あぁ」
「反対された?」
「いや、何となくそんな感じがしたと…祝ってくれたよ」

チュッチュとリリアの首筋にキスを落としていくエルヴィン、普段リリアが横になっている時はこんな事をしてこないのにやはり酔っているのだろうか。


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