第30章 ●#30 祝福される嬉しさ
「反対しないのか?」
「何故?二人で決めたんだろう?何だろうな…頭のどこかでいつかこんな日が来るんじゃないかと思っていた所があるな」
そうか、そうかと何度も言いナイルは腕を組みながら天井を見上げた。
「いつから意識し始めたんだ?まさか出会ったあの小さい時とかは言うなよ?」
「それはない。女性として意識し始めたのは最近だ。それより前はもちろん妹として見ていたさ」
「リリアちゃん驚いたろ?」
「言う順番を間違えて過呼吸にさせてしまった」
「はぁ?馬鹿野郎、もっと考えて伝えろよ。リリアちゃんはお前の事となったら繊細なんだからな」
反省している、とエルヴィンが視線を逸らす。
するとナイルは酒の入ったコップを持ち、エルヴィンの方へと傾けた。
「色々聞きたい事は山程だが。おめでとう」
フッと笑うとエルヴィンもコップを持ち、ナイルの持っているコップにカツンと軽く当てた。
「ありがとう」
グッと一息に酒を飲み干したナイル、しかしエルヴィンは飲まず視線を下げたままだ。
それに気付いたナイルが首を傾げる。
「どうした?」
「一つお前に頼みたい事がある。今日の本題はそれだ」
「ん?」
エルヴィンはコップを机の上に置き、真剣な眼差しでナイルを見つめた。
リリアを連れてこれなかった本当の理由がそこにあった。