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誰が為に心臓を捧げる【進撃の巨人】

第29章 #29 二人の次の夢



「リリア!落ち着いて!!俺の話をちゃんと聞きなさい」
「はぁ……はぁ…お兄…ちゃん……やだ…やだ…!はぁ…はぁ…私を一人にしないで…」
「しない!しないから!!」

エルヴィンに手を引っ張られ、リリアはゆっくり腰を降ろした。
溜まっていた涙が頬を伝う。エルヴィンはリリアを抱きしめると優しく背中を撫でた。
次第にリリアは落ち着きを取り戻し、呼吸が穏やかになった。


「話は最後までちゃんと聞きなさい。確かにスミス家から外すが、すぐに戻ってきてもらうつもりだ」
「……え」
「ただ……次に戻ってきてもらう時は、妹としてじゃない」

伝った涙を指ですくい、リリアの頬を撫でるとエルヴィンは優しい笑顔を見せた。


「今度は俺の妻として戻ってきてほしい」


リリアが目を見開く。
今、エルヴィンは何と言った?


「ウォール・マリア奪還が無事に終わって、二人共無事に帰ってこれたら、俺と結婚してくれないか?」
「えっ……あの……え?」
「ダメか?」

ブンブンとリリアが頭を横に振る、しかし頭の中は真っ白だ。

「リリア、返事を聞かせてくれないか?嫌ならいいんだ、このまま外さず今までと変わらない。妹のまま俺の家族でいてほしい。ただ俺は……リリアの事を愛しているから、このままじゃ……物足りない」
「………」
「リリア?」

「お兄ちゃんはそれでいいの?私で本当にいいの?きっと周りの人から色々言われちゃう…」
「気にする事はない。妹じゃない、妻になるんだから」

リリアはエルヴィンを見つめたまま動かない。
まだ頭での理解が追い付いていないようだ。
エルヴィンはリリアの手を取ると手の甲に優しくキスをした。


「リリア、俺と結婚しよう」
「………はい」


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