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誰が為に心臓を捧げる【進撃の巨人】

第28章 #28 戻りたくない



「遅いねぇ。正午には戻るって言ってたのに」
「……」

馬屋でエルヴィンとリリアの帰りを待っていたのはハンジとリヴァイだった。
前日、正午には戻るとエルヴィンから聞いていたために伝達事項を言いにきたのだが一向に帰ってくる気配がない。
もう少しで1時間は過ぎる。


「エルヴィンが時間を守らないなんて珍しいな。何かあったのかな」
「もう諦めたらどうだ、エルヴィンがいなくても大丈夫だろ?」
「大丈夫だけどさ…団長がいるのといないのとじゃ全然違うよ気合いがさぁ」

その時だ、遠くからエルヴィンとリリアが戻ってくる姿が確認出来た。
それに気付いたハンジが手を上げる。

「おぉーい!エルヴィン、リリア!!お帰り」
「ハンジ、リヴァイ。どうした?何かあったか?」
「帰りが遅いから心配したよ?クーデター以降、調査兵団に編入したいって兵士が増えてね。急遽簡易だけど編入式をやる事が決まって団長であるエルヴィンに挨拶をお願いしたくてね。兵士長のリリアも参加お願いしたいんだけど…」


馬から降りたリリアを見るハンジ、リリアは反応もなく元気がない。
一言も喋らずに自分とエルヴィンの馬を馬小屋へと入れた。

「リリアどうしたの?元気ないけど……」
「すまないハンジ、リリアは今日体調が悪くてな。編入式には俺だけ参加しよう」
「もしかして帰り遅かったのリリアの具合が悪かったから?大丈夫?」

リリアからの返事はない。
顔を合わそうとせずエルヴィンにしがみついてしまった。

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