• テキストサイズ

誰が為に心臓を捧げる【進撃の巨人】

第28章 #28 戻りたくない



家に戻るとエルヴィンが既に服を着替え、兵舎に戻る準備をしていた。

「リリアもそろそろ準備しなさい」
「うん…」

そう言われゆっくりと着替えを始めるリリア、兵舎に戻ればいつもの団長と団長補佐の関係が始まる。
本当はもっとここにいたい、2人でいたい。


「準備出来たか?じゃあそろそろ戻ろうか」
「………」
「ゆっくりでいいから。行こう」

しかしリリアは動かなかった。
下を向いたまま足を踏み出そうとしない。

「リリア?」
「……お腹……痛い」
「え?」
「お腹が痛い…」

エルヴィンが慌てて近付きリリアを支える。

「大丈夫か?リリアは無理しなくていい、良くなってから戻ってきなさい」
「………」
「ほら、横になろう?」

部屋へと連れて行こうとするがリリアはやはりその場から動かない。
不思議に思い顔を覗き込むとポロポロと涙を流していた。

「リリア?!そんなに痛いのか?!すぐに医者に…」
「痛くない!!」

大きな声を出したリリアに驚きエルヴィンは目を見開く。
顔を上げたリリアはエルヴィンの服を握った。


「ご、ごめんなさい……お腹痛くない……」
「リリア…」
「嘘つきました…ごめんなさい。戻りたくない…まだ……お兄ちゃんと一緒にいたいの」

嗚咽を漏らしながら膝をついたリリアの瞳からは涙が止まらず、ポタポタと床を濡らしていた。




/ 1007ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp