第27章 ●#27 兄妹の壁を越えた日
「はぁ…はぁ……リリア?平気か?」
「……う…ん……」
「頑張ったな……ありがとう、受け入れてくれて」
「……エルヴィン……」
エルヴィンは名前を呼ばれ恥ずかしそうに笑った。
啄むようなキスをし、エルヴィンは脱力してリリアの上に倒れ込んでしまった。
「お兄ちゃん…?大丈夫?」
「あぁ……あはは…俺の方が余裕なかったかもしれないな」
背中を撫でられ暫くするとエルヴィンは起き上がり、リリアの頭を撫でた。
「少しこのまま待っていてくれ」
「ん…?」
「すぐ戻るよ、そのまま、な」
優しくリリアの頬にキスをするとエルヴィンはベッドから降り上着を羽織って部屋を出た。
数枚のタオルを手に取り台所へ立つとお湯でタオルを温めながらジッとそのタオルを見つめていた。
(リリアに……手を出した…しかし……)
リリアの事が愛おしくてたまらない
他の誰かに奪われてしまうくらいなら
これで良かった
「もう……後戻りは出来ない」
エルヴィン…
名前を呼んだ…リリアが……俺を…
あの瞬間がたまらなかった……俺を男として見てくれた気がした
はぁ、と大きく息を吐くとお湯で濡らしたタオルをギュッと絞った。
「………兄妹か……今さら後悔してきた…」
どうして自分は彼女を妹として迎え入れてしまったのだろう。
別の形で保護すれば、今頃こんなに悩む事はなかったのに。
すると部屋から、わっ、というリリアの声が聞こえ、エルヴィンは慌てて部屋へと戻った。