第26章 #26 返事を聞かせて
リリアを先にベッドへ寝かすとエルヴィンも隣に横になり、布団を掛けリリアの脇腹辺りをポンポンと定期的に叩いた。
「おやすみリリア」
「お兄ちゃん……」
見るとリリアが潤んだ瞳でエルヴィンを見つめていた。
エルヴィンは固まり動かしていた手を止めると、ゆっくりとリリアの顔に自分の顔を近付け優しく口付けた。
何度も何度も優しく口付けると一旦エルヴィンはリリアから顔を遠ざけた。
「リリア…お願いがあるんだが」
「何?」
「今だけでいいから……名前で呼んでくれないか?」
えっ、とリリアが目を丸くする。
エルヴィン団長と呼ぶ事はあっても、プライベートで呼んだ事は一度もない。
リリアは頬を染めて視線を逸らした。
とても呼べない。
「リリア?」
「……えっと……その…」
「今だけでいいから…」
「エ…エル………エルヴィンだんちょ…」
「駄目、それは違うだろ?」
エルヴィンがリリアの額をツンっと小突く。
「エ……ル、ヴィン……」
「聞こえない」
「……エルヴィン………」
さらに顔を真っ赤にしリリアは名前を呼んだ。
エルヴィンは嬉しそうに微笑むとリリアの頬にキスをした。
「ありがとう」