第26章 #26 返事を聞かせて
「だからもう…答えを聞こうと思ってね。ただやはり世間の目を考えると表立って好き合うことは出来ない、これだけはすまないとしか言えない。俺が妹ととして戸籍に入れてしまったからな」
「お兄ちゃん…」
「リリア……急で申し訳ないがあの時の返事を聞きたい」
エルヴィンは一呼吸置くと、ゆっくり口を開いた。
「俺を兄としてではなく一人の男として……その…なんだ…」
珍しくエルヴィンが言葉に詰まる。
どう伝えていいのかが分からないようだ。
「俺の……じゃない……えぇっとだな…すまない、良い言葉が見つからないのだが…」
「ふふふ!」
「リリア…?」
「お兄ちゃんの言いたい事は分かったよ」
リリアは握られていた手を裏返し、逆にエルヴィンの手を握った。
「返事…する前に教えて欲しいんだけど…」
「あぁ」
「私で本当にいいの?分かってると思うけど…私かなり甘えたがりだし、寂しがりだし…結構自分勝手な所あるし……」
「だからこそ俺じゃないとダメだろ?俺は全部知ってるし、受け止めてる」
そうだね、とリリアが笑う。
「俺はリリアと出会う事は運命だったと思う。初めて会ったあの時、他人からしたら小さな女の子に何を馬鹿なと思われるかもしれないが、あの時から俺はお前と出会うべきだったのだと確信している」
「……そうかもね…」
リリアもまだエルヴィンと出会う前、もう死にたいと思っていた。
こんな世の中生きていたくない、と。
しかしあの時エルヴィンと出会い、初めて誰かに"助けて"と手を伸ばした。
そしてエルヴィンはその手を取ってくれた。
「リリア、初めて会ったあの時から長い長い時間が過ぎてようやく確信した。愛している……これからも俺と共に歩んでいってくれないだろうか」
「もちろん…喜んで」
二人は見つめ合うと頰を染めて視線を落としてしまった。
今更ながら恥ずかしい。