第25章 #25 二人の休日
「なぁ……」
「なぁに?」
「抱きしめていいか」
突然の要求にリリアが固まる。
リヴァイがそんな事を言うとは思いもよらなかった。
しかし彼の表情は真剣だ、からかっているようには見えない。
「や、やだ!」
「……だよな」
リヴァイは小さく笑うと立ち上がった。
「そろそろ帰るぞ。あまり遅くなるとあのシスコン兄貴が心配するからな」
「あ、うん」
リリアも立ち上がり敷いていたシートをしまう。
行くぞ、とリヴァイが歩き出しその後ろを着いて歩き二人は兵舎へと戻った。
「じゃあな」
「待ってリヴァイ!」
自分の部屋に帰ろうとしたリヴァイを引き留めたリリア、鞄から包装された袋を取り出しリヴァイに差し出した。
「これ、私から」
「は?」
「受け取ってくれる?」
リヴァイはその袋を受け取ると中身を見た。
その中には新品のクラバット、いつもリヴァイが付けている物だ。
驚いたリヴァイが目を丸くしリリアを見た。
「替えはいくつあっても良いでしょ?店主さんにお願いして同じ物包んでもらったの」
「……だから店に戻ったのか」
リヴァイが微笑むとリリアは頰を赤く染めた。
彼の微笑む顔はまだ慣れない。
「ありがとうな、使わせてもらう」
「こちらこそ今日はありがとう!楽しかった」
するとリリアがリヴァイに近付きギュッと抱き着いた。
先程は抱きしめるのを断ったのに突然の行動にリヴァイが固まる。