第24章 #24 大事な兄ふたり
「おい……俺の妹に手を出すな」
「………」
ナイルが呆れたように固まる。
後ろに立っていたのはエルヴィンだった。
「エルヴィン……お前な…」
「お兄ちゃん!どうしたの?」
「帰りが遅いから迎えに来た」
かなり大きなため息を漏らすナイル、ごめんねとリリアが頭を下げた。
「嫁がいるのにリリアにまで手を出す気か。マリーに言うぞ」
「あのなぁ、俺にとってもリリアちゃんは妹みたいな存在なんだよ!」
「冗談だ、熱くなるな」
「大体お前のやり方には以前から納得できなかったんだ!家族をあんなにボロボロになるまで傷付けて…もしクーデターが上手く行かなかったらどうするつもりだったんだ!!お前は勿論、リリアちゃんだって殺されてたんだぞ?!」
落ち着いて、とナイルを宥めるリリア、しかしナイルは止まらない。
今までの不満が今回の事で一気に噴き出してしまったようだ。
「二人で決めた事だ」
「だからなんだ!!それでもお前はリリアちゃんを守るべきだった!!いつもいつもお前はリリアちゃんを守るとか助けるとか言いながら悲しませたり傷付けさせたり…」
「ナイル兄ちゃん」
エルヴィンには返す言葉がない。
ナイルの言う通りだからだ。
虐待されていたリリアを保護し家族に迎え入れ、幸せにしてやりたいと言いながらも自分はリリアを置いて調査兵団に入った。
エルヴィンを追い一番死ぬ可能性の高い調査兵団の入団も最終的には許し、厳しい訓練をさせ自分の補佐に就かせ駒のように使っているエルヴィンがナイルには許せなかった。
二人には幸せになってほしい、そう願うからこその感情だ。
するとリリアがエルヴィンとナイルの服を軽く引っ張った。