第23章 #23 誤魔化せない想い
戴冠式が終わり、リリアは王都の中をキョロキョロと小走りに誰かを探していた。すると通路に探していた人物が壁にもたれて立っているのを発見し、ゆっくりと近付く。
「リヴァイ……」
名を呼ばれ、リヴァイは顔を上げた。
リリアを見たリヴァイだったが、すぐに下を向いてしまった。その行動にリリアが落ち込む。
このままではいけないと、どうにか前のように話してほしくて彼を探していたが、やはりまだ顔を見てくれない。
しかしリリアは諦めなかった。
「リヴァイ……あの……あの…ごめんね、私、知らないうちにもしかしたらリヴァイを傷付けるような事をしたのかもしれない」
「……別にしてねぇよ」
「じゃあ…どうして急に無視するの?何か理由があるなら教えて?直さなきゃいけない事があるなら直すし……私…」
「だからっ!なんもねぇって!!」
ビクッとリリアの体が跳ねる。
肩で息をし目には涙が溢れてきている。リヴァイは目を見開いた。
また、怒鳴ってしまった。
「ご、ごめんなさい……私、もう……何も言わない……言わないから…だから怒らないで……怒らないで…ごめんなさい…」
リリアは体を震わせながら反転し、ゆっくりリヴァイから離れ始めた。
「っ!」
追いかけろ、ここで追わなかったらもうリリアは戻ってこない、そう心で叫びリヴァイは足を踏み出した。
リリアの腕を掴み振り返らせ、力一杯抱きしめる。
「……悪かった…お前は何も悪くない。悪いのは俺だ……お前にどう接していいか分からなくなってツラく当たった。すまなかった…」
「何で…急に……いつもみたいに接してくれたらいいのに……何で?」
「……俺も分からねぇ…。お前と離れてからお前の無事ばかり気にしていた。お前の事が頭から離れなかった」
リリアは少しだけリヴァイから離れ、彼を見つめた。
涙は既にボロボロと流れている。