第23章 #23 誤魔化せない想い
巨人はもう壁のすぐ下まで来ていた。しかも運悪く風向きが変わり、熱風が兵士達を襲う。
煙で何も見えないまま壁上固定砲が打たれるが、ついに巨人が壁に突っ込んできた。
「遅かったか」
恐ろしく大きな巨人が壁から姿を現し、住民達は逃げ惑った。
無理もない、住民には知らされていないのだから。出来ればこうなる前に仕留めたかったが、ここからが調査兵団の仕事だ。
全員耐熱の為に全身に水を被り、準備を始める。
エレンが巨人となり、ハンジの用意した爆破器具も準備を完了し、そしてエルヴィンが信煙弾を構える。
「攻撃開始っ!!!!」
掛け声と共に赤い信煙弾が打たれ、まずは爆破器具が巨人に向かって放たれた。巨人の手を爆破し、体勢を崩した巨人が倒れてくる。
そして巨人化したエレンが皆で作った火薬を持ち、レイス巨人に向かって走り出した。
エレンが開いた口の中に大量の火薬を投げ込むと、高熱に反応した火薬が大爆発を起こし、巨人のうなじごと粉々に吹き飛ばした。
あとはこの小さくなった破片から本体を探しだしトドメをさすだけだ。
「総員!!立体機動でトドメを刺せ!!」
エルヴィンの号令と共に、調査兵団全員が一気に飛び出した。
勿論ヒストリアもその中にいる。
彼女は必死に探した、本体を、父親を、自分がトドメを刺すために。
そして明らかに他の物とは違う形のモノをヒストリアは捕らえた。
本体だ
そしてそれを迷わず斬り、ロッド・レイスは空中で激しい光を放ちながら飛び散った。
それをエルヴィンとリリアが壁の上から見つめていた。
数多く飛び散る巨人の塊の中、彼女が父親を見つけ出した事には何か意味があったのだろう、そんな気がしてならなかった。