第22章 #22 素直になれない
「リリア兵長、すみません。少しお話し良いですか?」
「え?構わないけれど」
二人が講堂を離れ、それをリヴァイが再び目で追っていた。
「随分と気にしているな。声をかけたら良かったのに」
「あ?」
エルヴィンがリヴァイの背後にいつの間にか立っていた。
リリアを先程から目で追っているのがバレている。
「俺に吐かせる為に酷く拷問されたんだ。頭の傷が開き、全身を蹴られ、殴られ、左肩もあぁ見えて外れていたんだ」
「……そうか」
「ツライ目に合わせてしまった…」
リリアとヒストリアは講堂から少し離れた物影に入っていた。
どうしてヒストリアに呼び出されたのかリリアには分からなかった。
彼女とはまだあまり話した事が無い。
「ヒストリア?何か?」
「あの……私、リヴァイ兵長からこれが終わったら王になれと言われました」
「……そうだね、無理矢理王座につかせてしまう形になってしまってごめんなさい」
「それはいいんです!もう…決めたから。ただ、民衆がそれを受け入れるでしょうか、今日から私が王だと伝え、それを簡単に受け入れてくれるでしょうか?」
リリアは眉をひそめた。ヒストリアの意見はもっともだ。
「…まぁ、無理だろうね」
「だから……私も前線に出たいんです!出て、私自身の手で父との決着を着けたい!!民衆の前で私がやらないといけないんです!!」
「それは……団長が許さないと思うけど…」
「だから、リリア兵長にお願いしたいんです!!一緒に団長を説得してください!!お願いします!!」
ヒストリアから強い意志を感じる。
リリアは柔らかく笑った。
「私だったら無断でやって後で大叱られするんだけど、さすがにヒストリアはダメだよね」
どうしたものかと考えたが、とにかくエルヴィンに直接話すのが一番だろう。
許可はなかなか下りないだろうが、このヒストリアの思いの強さなら、大丈夫な気がする。