第22章 #22 素直になれない
ウォール・シーナに到着し、リヴァイ達はすぐに講堂へ呼び出された。
これからあの巨人をどうするのか作戦を立てるらしい。
装備を整えたリヴァイ達は講堂へと向かった。
中に入るとすでに話し合いの準備が整っており、エルヴィンもすでに到着していた。
すると少し遅れて講堂にリリアが入ってきた。リヴァイがエルヴィンの隣に着くリリアを目で追う。彼女は再び頭に包帯を巻き、顔にもアザがあり、見るからに痛々しい姿にジャンが声を掛けた。
「リリア兵長……その、大丈夫ですか?」
「大丈夫、ありがとう。さっきまで皆んなと準備してたくらいだから平気。みんなもお帰りなさい」
リリアはリヴァイを視界に入れたが、フッとリヴァイが視線をそらす。
その時は偶然かなと気にも留めなかった。
「ロッド・レイス巨人の現在の位置が分かりました。オルブド区の南西を進行中。やはり、夜明け頃にオルブド区に到達する見込みです」
「分かった。エルヴィン団長、君の腹案を聞かせてもらおうか。どうやって住人を非難させるつもりだ」
そう聞かれたエルヴィンはこう答える。
「避難はさせません」
「なに?」
「住人にはこのまま、オルブド区に留まってもらいます」
「正気か?」
エルヴィンの作戦に、駐屯兵は納得がいかないようだ。
しかしロッド・レイス巨人が奇行種である事、多くの人に反応している巨人であるため、住人をウォール・シーナに移せばそれに引き寄せられ壁を破壊し突き進んでくる事、そうなれば王都ミットラスに到着し、人類が破滅的被害を被ると説明し何とか理解したようだった。
「つまりあの巨人はこのオルブド区外壁で仕留めるしかありません。そのためには囮となる大勢の住民が必要なのです」
ただ、民の命を守る事、目標を仕留め損ねても住民に一人として死傷者を出さないよう尽くすとエルヴィンは約束した。
「やるしかないようだな」
「目標はかつてない程巨大な体ですが、それ故にノロマで的がでかい。壁上固定砲は大変有効な筈ですが、もしそれでも倒せない場合は調査兵団最大の兵力を駆使するしかありません」
作戦会議は終わり、駐屯兵達が講堂から出ていった。
すると、ずっと何かを考え黙っていたヒストリアがリリアに声をかけた。