第22章 #22 素直になれない
「お前の意見を聞かねぇとな、団長」
「ともかく、ここで立ち話をしている余裕はない。ウォール・シーナに戻る」
「あのクソデカイのをそこまで進ませるって事か」
「正確にはオルブド区だ。奴の進路はおそらくそこに向かっている」
エルヴィンが出発しようとしたその時、リヴァイがエルヴィンを止めた。
いつもエルヴィンの側にいるはずのリリアがここにいないのが気になった。
「エルヴィン、リリアは無事か?何故一緒にいない」
「少し無理をさせてしまった。だが無事だ、心配しなくていい」
「……そうか」
一緒に連れてきていれば、尋問などされなかっただろうか、いや、こちらに連れてきたとしても中央憲兵との戦いで怪我をさせてしまったかもしれない。
リヴァイの心境は複雑だった。
何故こんなにも彼女を案じてしまうのか、他人のそんな事考えもしなかったのに、何故リリアの事になるとこうも気にしてしまうのか、最近は特に。
(アイツの泣き顔を見る事が増えたからか……?)
分からない、いくら考えてもリヴァイの答えは出なかった。