第21章 #21 王政奪還
「それはそうと、君の妹はよく奴らの拷問に耐えたな。ボロボロだったではないか。普通の女子ならあの苦痛は耐えられん」
「そう……ですね」
「余程、君の事を思っている子なのだろう。大事にするといい」
「勿論です」
するとザックレーが思い付いたように手を叩くとエルヴィンを見た。
「私の親族に嫁を探している者がいてな!どうだ?嫁に。あれだけ芯の強い女子はそうはいない!」
「ご遠慮します。あの子は……私のですから」
「はっはっは!!そういえば君とは血が繋がっていなかったな」
エルヴィンは驚いたようにザックレーを見た。どこまで知っているんだ、この人は。
ザックレーと別れエルヴィンはリリアが体を休めている病室へと向かった。
リリアは眠っているようだ、エルヴィンはベッドの端に座るとリリアの頬を優しく撫でた。
「ここ数日は、お前の傷だらけの姿ばかり見ている気がする…」
するとリリアがソッとエルヴィンの手に触れた。
「お兄ちゃん、おかえり。終わった?」
「あぁ…」
温かい彼の手に擦り寄るリリア、エルヴィンは柔らかく笑ったが、すぐに真面目な顔に戻った。
「リリア、本当によく耐えたな。お前は小さい頃に辛い目に合っていたから、今回の拷問はかなりこたえただろう」
「大丈夫だよ。今の私にはお兄ちゃんがいるもの。何されたって耐えられる」
リリアはゆっくり起き上がった。
「まぁ…途中で煽った私もいけないんだけど…」
「煽る?……女の子があまり煽るような言葉を使うんじゃない…」
「……?大丈夫?お兄ちゃん、元気ないよ?」
そんな事ないと答えたエルヴィンだったが、明らかにいつもと様子が違って覇気はなかった。
リリアは布団から出るとエルヴィンの隣に座り直した。