第21章 #21 王政奪還
宣言が終わり、馬車に乗り込んだエルヴィンとザックレー、エルヴィンは自分の起こしたクーデターの事を考えていた。
人類を思えばこのまま王政に託すべきだった。ピクシスの言う通り、今日まで人類を巨人から生きながらえさせた術があるからだ。
人類の半数を見殺しにするようであっても、人類が絶滅するよりかは良かっただろう。
「エレンを手放し、仲間の命を自分の命と共に責任を放棄し、王政に託すべきだったのでしょう。人よりも、人類が尊いのならば……」
「君の使命は相変わらずツラいな。死んだ方がはるかに楽に見える。しかし、だったら何故そうしなかった」
「それは…」
「私の理由を言おうか?昔っから奴らが気に食わなかったからだ!」
「は?」
予想外の理由にエルヴィンは目を丸くしてザックレーを見た。
「ムカつくのだよ!偉そうな奴と偉くもないのに偉い奴が!!いいや、もうむしろ好きだな。思えばずっとこの日を夢見ていたのだ。つまり君らがやらなくても私がくたばる前にいっちょかましてやるつもりだったのだ!このクーデターが人類にとって良いか悪いかなど興味がない。はっ、大した悪党だろう?」
ザックレーは少し間を開け、再び口を開いた。
「しかしそれは君も同じだろう。君は死にたくなかったのだよ。私と同様、人類の命運よりも個人を優先させる程」
「自分は…とんだ思い上がりをしていたようです」
「君の理由は何だ?次は君が答える番だぞ」
「私には夢があります。子供の頃からの夢です」
エルヴィンの夢
それは父の仮説を証明する事