第20章 #20 選ぶのはお前だ
「起きろ、リリア・スミス」
兵士に起こされ、リリアは無理矢理立たせられ牢から引っ張り出された。
足元はフラフラで歩くのがやっとだ。
連れてこられたのはエルヴィンのいる牢だった。
リリアは体を押され、エルヴィンと同じ牢に放り込まれた。
「時間が来るまで兄妹で最後の思い出話でもしていろ」
そう言い放たれ、兵士は去っていった。
尋問が終わり手足が自由になっていたエルヴィン、目の前で倒れているリリアに手を伸ばし、ゆっくり起き上がらせた。
「リリア、大丈夫か?」
「……お兄ちゃんこそ……目が…」
「これくらいは大丈夫。ただお前は俺から話を引き出すために酷くやられたようだ……頭の傷がまた開いたな、肩も外れていたと聞いた。痛かったな……」
「……平気」
「顔も腫れて……もう少し、もう少し頑張ってくれ」
リリアは微笑んだ。
「お兄ちゃん」
「ん?」
「これが無事に終わって処刑されなかったら…」
「あぁ」
「体がもう、痛くて痛くてたまらないから、泣いちゃっていいかな。今は、泣かないけど」
エルヴィンは目を閉じて話すリリアを見て眉をひそめるとギュッと抱きしめた。
もう力が入らないのかリリアから抱き返してはこないが表情は穏やかだった。
「あぁ……泣いていい」
「もし処刑になったら、される前に大暴れしてやる」
「………どうせ殺されるなら、俺もそうするか」
ふふふ、と冗談を言いながら二人は笑った。