第20章 #20 選ぶのはお前だ
ミットラスに到着すると、エルヴィンとリリアは別々に牢へと連れて行かれた。
牢へ入るとリリアは両手を上げるような形で手枷を付けられ固定された。これはもう尋問するというか、拷問する気満々である。
そして入ってきた貴族のゲラルド、彼はリリアの姿を見て薄ら笑った。
「さて、尋問を始めるとしようか」
ゆっくり近付いてきたゲラルドはリリアの顎を掴み上を向かせた。
「お前達兄妹はニックについて何を知っている?」
「何って……分隊長の友人としか私は聞いていない」
バァンっとゲラルドがリリアの頭を殴った。あまりの衝撃に一瞬リリアの視界がブレる。
「正直に話せよ?俺は女だからって容赦はしないからな」
「だから……知らない」
頭から血が流れ、顔を伝う。
どうやらせっかく塞がっていた怪我が再び開いたようだった。
「クリスタ・レンズの本名は一体誰から聞いた?」
「クリスタの本名は……彼女からの自己申告よ。誰から聞いたわけじゃな……」
ドコッっと次は腹部を蹴られる。
「うっ……え…」
「だから、正直に話せって」
「ぐっ……これは…なんの尋問?私にかけられてる容疑は…殺人容疑でしょ?ニックの事やヒストリアの事がなんの関係があるのよ…」
あぁ、とゲラルドが頭を掻く。聞いてくるのはニックの事やヒストリアの事ばかりで、肝心なリーブスを殺害した容疑での尋問が全然ない。
するとゲラルドは再び腹を蹴り上げた。