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誰が為に心臓を捧げる【進撃の巨人】

第20章 #20 選ぶのはお前だ



「貴様らのやっている事はエレンの持つ巨人の力を私物化する事と同義、その行為は人類憲章第6条に抵触する。当然内容は知っているな」
「個々の利益を優先し、人類の存続を脅かした罪、だろう?」

「その通り。で、リリア。お前は兄である団長が上手く動けるなら影でなんでもする奴だったよなぁ?」

ガシッと肩を抱かれ、耳元で囁かれる。

「殺したのはお前だよな?とっとと吐いて楽になれよ。あ?キレイな顔してやる事エグいなぁ」
「………」
「何も言わないという事は認めると言うことでいいな?」

リリアは眉一つ動かさない。
ただジッとリーブスを見ている。

「ではここに同胞への重大な違反を認め、全調査兵の身柄を拘束する」

その宣言後に調査兵団全員が拘束されてしまった。
エルヴィンとリリアも王都へ連行するために馬車の方へと向かったが、馬車に乗る寸前エルヴィンが足を止めた。

「少しいいか」

そう言ってリーブスの元へ向かい膝を着き彼を見た。
キッと睨みつけるようにリーブスの妻はエルヴィンを見上げた。

「主人に近付くな悪党め!!」
「先のトロスト区襲撃時、リーブス氏は財産を持ち出すため避難の遅れを招いた」
「だ、だから殺して当然だって言うの?!」

「しかし、トロスト区が破綻寸前まで追い詰められたこの状況下では街に踏み留まり、あらゆる手を尽くして行く当てのない人々を支援し、復興を目指した。だが何者かの手によってその思いは潰えた。この無念、私が必ずっ!!」

リーブスの妻が目を見開きエルヴィンを見つめる。
そしてその先でその光景を黙って見ていたリリアを視界に入れると、リリアはリーブスの妻に向かってゆっくりと頭を下げ、馬車へと乗り込んだ。


エルヴィンが馬車に乗り込むとゆっくりと動き出す。向かうのは王都ミットラス、これから二人には尋問が始まるだろう。
おそらく話すだけの尋問ではない。
憲兵に囲まれているために、エルヴィンとリリアは会話は出来ないが、二人は視線を合わせ小さく頷いた。

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