第3章 #03 エレンの審議
「あ、来た」
「え?」
エレンが聞き返したその時、勢いよく誰かが牢を掴みエレンを覗き込んだ。
それは分隊長のハンジだった。
驚いたエレンが仰反る。
「君がエレンだねー?大丈夫?変わりない?」
「え…」
「ごめんねー、待たせてしまって。でもやっとここから出られそうなんだ」
その言葉にエレンが安堵するが、ハンジが取り出した物を見て再び固まった。
と同時にもう一人大柄な男がハンジの隣についた。
「ただ……これを付けなきゃだけど」
取り出されたのは手錠。
エレンが自由になる事はまだないのだ。
牢から出られたものの長い通路を歩かされ、どこへ向かっているのかも分からず、エレンに不安が襲う。
しかも大柄な男が先程からエレンの匂いをスンスンと嗅いでくる。
「私は調査兵団で分隊長をやっているハンジ・ゾエ。彼は同じく分隊長のミケ・ザカリアス」
「あの……」
「あー、彼はそうやって初対面の人の匂いを嗅いでは鼻で笑うクセがある。ま、多分深い意味はないと思うね。これでも分隊長を務める程の実力者だ」
ようやく離れたミケをジッと見つめるエレン。
もうどう反応していいのか分からない。
「で!この可愛い子がリリア・スミス。ご存じエルヴィン団長の妹さんで兵士長だよ」
「は、はい…」
リリアと目が合うと再びニコリと笑顔を向けてくれた。
その笑顔に少しだけ心が落ち着く。
「あーっとごめん、無駄話しすぎた。もう着いちゃったけど」
足を止めたのはやや大きな扉の前、ここがどこなのかはエレンにはまだ分からない。
「うん、大丈夫。むしろ説明なんてない方が良いんだから」
すると側にいた憲兵が扉を開けエレン体を掴み、無理矢理部屋へと入れようと体を押した。
「ちょっと…!」
「勝手だけど我々は君を猛進するしかないんだ。健闘を祈る」
「あっ…あっ…」
エレンは扉が閉まる寸前にリリアと目が合った。
"耐えて"
まだその意味はまだ分からない。