第3章 #03 エレンの審議
その頃、エレンは手錠で繋がれたままベッドの上で項垂れていた。
一体どれだけの時間が経ったのかさえ分からない。
その時だ、地下牢の入り口が開いた音がし、牢の前にいる憲兵が入ってきた人物に驚いていた。
「リリア兵長?なぜここに?まだ時間では無いはず」
「少しエレンと話をしたい。入り口に出てくれない?」
「いやしかし目を離すのは」
「どうせ出られないのだから一緒でしょう?あれなら外から鍵をかけて構わない。分隊長が来るまでの時間、話をしたい」
はぁ、と憲兵達はエレンを睨みながらその場から離れ、ガチャンと地下牢の入り口の鍵を閉める音が聞こえた。
するとリリアがエレンの前に歩み、座った。
「こんにちは、エレン」
「……リリア兵長…どうして」
「一人じゃ不安かな、と思って。ご飯は食べた?」
「いえ…」
「こんな所じゃ食欲も出ないよね。もうすぐ出れるようになるから」
え、とエレンが首を傾げる。
「あまり詳しくは言えないけど……エレン、私の言う事信じてくれる?」
「は、はい…」
「これから君にとって痛く、辛い事があるかもしれない。でも私達は必ずエレンを迎え入れるから。耐えて」
「耐える…」
するとリリアが柱の隙間からエレンに向かって手を伸ばした。
エレンが恐る恐るその手を握るとギュッと力を込めて握り返された。
「大丈夫、大丈夫だよ。エレンは思った事を言えばいい」
「え……」
ニコッとリリアが笑い、エレンの顔が真っ赤に染まる。
あの無表情で有名なリリアが笑ったからだ。
エレン自身もリリアのイメージは冷たく決して笑わないイメージを持っていた。
まさかこんな優しい笑顔を見せてくれるとは思いもしなかったのだ。
すると再び入り口が開く音がした。