第20章 #20 選ぶのはお前だ
次の日の早朝、エルヴィンとリリアは憲兵団に連れられ街に出た。
そこにはたくさんの人が集まっており、エルヴィンとリリアの姿を見てヒソヒソと耳打ちをする。
到着した場所には布が被せられた男の死体と、それに寄り添う妻や娘達の姿、エルヴィンとリリアが死んでいるその男の姿を確認する。
「彼が誰か分かるな、エルヴィン、リリア」
「リーブス商会の会長、ディモ・リーブス氏だ」
リリアがジッとリーブスを見つめた。
彼はエレンを拐い、リヴァイ達が捕らえていた。その後サネスらをリヴァイ達の所へ案内させたとハンジから聞いていたが、何故死んでいるのか。
しかも喉を切られている。
リリアは先日、リヴァイが話していた内容を思い出していた。
"ニファ、切り裂きケニーを知ってるか?"
"都の大量殺人鬼ですか?憲兵が100人以上も喉を裂かれたという"
(殺され方からして、あのケニーという奴か……)
おそらく憲兵団を裏切り、リヴァイ達に加担したために殺されたのだろう。
「昨日、ここでエレン・イェーガーがリーブスの部下達に襲われ連れ去られた。しかし、それは王政からのエレン引き渡し命令を回避するため、調査兵団がリーブス商会を使って企てた狂言だった。そして調査兵団は用済みになったリーブス会長を口封じのため殺害、実行犯はリリア、お前と残りは現在エレンを連れて逃亡中と思われる」
「上手い話を考えたな」
表情は変えず、エルヴィンは返した。
何とも良い様に話を作られている。
この者達はリーブス殺害をエルヴィンが命令し、リリアがそれを実行したと言っているのだ。