第19章 #19 死線を越えろ
それから少しして調査兵が扉を叩き、エルヴィンに声を掛けた。
どうやらピクシス司令が訪れたらしい。
エルヴィンはクーデターの事をピクシスに知らせていたようだ。
兵士に案内され、ピクシスが部屋へと入りリリアは敬礼し、頭を下げた。
「団長、私は外で待機しています。ハンジが来たら声を掛けますので」
「分かった。すまないな」
リリアは再びピクシスに頭を下げると部屋から出た。
扉の横の壁に寄りかかり、しゃがむ。
今は中でエルヴィンとピクシスがクーデターについて話をしているのだろう。
「ハンジ、まだかな」
エレンとヒストリアは大丈夫だろうか、人を殺めた事により落ち込んでいたアルミン、アルミンに人を殺させてしまい後悔していたジャン、皆今どうしているだろう。
リヴァイとハンジはサネスから聞き出せただろうか。
「………」
「リリアっ!!お待たせ!!!」
どれくらい時間が経っただろう、ハンジとモブリットが息を切らしながら走ってきた。かなり急いだようだ。
「エルヴィンの賭けは当たりだよ!!」
「っ!!」
リリアは立ち上がると急ぎ扉を叩いた。
「失礼します。団長、ハンジが戻りました」
そしてハンジを先に通し報告を急がせる。
「失礼します、エルヴィン!」
ハンジがエルヴィンの耳元でサネスから自白させた報告をする。
エルヴィンは小さく頷くとピクシスを見た。