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誰が為に心臓を捧げる【進撃の巨人】

第3章 #03 エレンの審議



数日経った時だった。
憲兵団からエレンを引き渡して欲しいと通達があったのは。それにより調査兵団か憲兵団どちらにエレンを引き渡すのか審議が開かれるという。

「どうやら憲兵団はエレンを脅威とみなして処分したいみたいだね」

憲兵団から通達された紙、それをエルヴィンから手渡されリリアは、はぁと息を吐いた。
リヴァイも黙ったまま視線だけをその紙に向けていた。
どうにかエレンを調査兵団に入れさせたいのだが、このままでは殺されてしまう。
しかしこのまま黙っているエルヴィンではない。
おそらく既に策はあるはずだ。


「勝算はありそう?」
「いや……しかし提案はする。どうなるかは分からないが賭けるしかない」
「……審議は明日。リリア、お前は審議には参加せず終わるのを待っていてくれ」
「え?」
「おそらく憲兵団も他の者達も己の都合の良い意見しか出さないだろう。あれだけ巨人を駆逐する事を心に決めているエレンの事だ、何かしらの反論をするはず」

エルヴィンがそこで言葉を止めた。視線はリヴァイに向いている。
その行動にリリアがあぁ、と理解した。

「あまり…お前に見せたくないんだよ、人への暴力的なものは」
「私はもう平気だよ?リヴァイにそういうのもちゃんと鍛えてもらったし」

エルヴィンが苦笑いをすると、リヴァイは視線を逸らした。
こんなにもエルヴィンが体罰的なものをリリアに見せたくないのは彼女の過去に理由がある。

「リヴァイがどんな鍛え方をしたかは知らないが…兄としては見せたくない。分かってくれないか?」
「……うーん…」

エルヴィンは微笑むとリリアの頭をポンポンと叩く。

「リヴァイ、お前はリリアにどんな鍛え方をしたんだ…」
「……調査兵団で上に上がりたいなら巨人だけじゃなく人間に対するイロハも身に付けないと上がれるわけねぇだろ。特にコイツは過去に色々あったらしいからな、抜かりなく鍛えてあるからまぁ、大体の事は安心しろ」

「安心してくださいっ!いひゃ!!」

眉をひそめてエルヴィンがリリアの頬を軽く摘む。
その視線が摘まれた頬よりもチクチク痛い。

「おにいひゃん……」
「……」
「言うこと聞きまひゅ…」
「よろしい」

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