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誰が為に心臓を捧げる【進撃の巨人】

第19章 #19 死線を越えろ



リリアは急ぎ戻りエルヴィンの部屋に向かった。
エレンとヒストリアが拐われた事を報告しなくてはならない。しかし兵舎に戻りエルヴィンの部屋に行くと何故か憲兵達が荷物を持ち運んでいる。

「何事……」

リリアがエルヴィンの部屋を覗くと全ての荷物がなくなっている。
押収されたのだ。
部屋の中にはエルヴィンとナイルがいたが、リリアに気付くとナイルが話しかけてきた。

「リリアちゃん戻ったのか。ちょうど良かった、悪いが君の荷物も全て押収させてもらうよ」

ナイルはリリアの肩を叩くとエルヴィンの部屋を出た。
向かうのはリリアの部屋、止める間もなく次々と運び出されていくリリアリの荷物、あっという間に部屋は空っぽになった。

「……戻ってきていきなりこれ…」
「すまないな、私物で戻して欲しいものがあったら言ってくれ」
「……乙女の日記かなぁ?」
「それは返さないといけないな」
「でしょう」

ナイルはエルヴィンとは旧知の仲で、リリアがまだ小さい頃はナイルも良く可愛がってくれた。

「なんでこんな事になったの?見られたら困る物なんてないけどさ、いきなり来てこれはちょっと酷くない?」
「ごめんなリリアちゃん。中央からの決定事項なんだ、俺にもどうも出来ない。調べが終わったら必ず返すから」

ナイルがリリアの頭をポンポンと叩く。
こうしてリリアには変わらず優しく話してくれるナイルだが、最近ではエルヴィンとの関係はあまり良いとは言えない。

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