第3章 #03 エレンの審議
「君の生家シガンシナ区にあるイェーガー医師の地下室、そこに巨人の謎がある、そうだね?」
「はい、おそらく…父がそう言ってました」
するとリヴァイが口を開いた。
「お前は記憶喪失で親父は行方知れずか、随分都合のいい話だな」
「リヴァイ、彼が嘘をつく理由はないとの結論に至ったはずだ。まだまだ分からない事だらけだが今すべき事は君の意思を問う事だと思う」
「オレの意思ですか…」
エレンは少し不安気な表情を見せたが、さらにエルヴィンは続ける。
「君の生家を調べる為にはシガンシナ区、ウォール・マリアの奪還が必要となる。破壊されたあの扉を速やかに塞ぐには飛躍的手段、君の巨人の力が必要になる。やはり我々の命運を左右するのは巨人だ。超大型巨人も鎧の巨人も恐らくは君と同じ原理だろう。君の意思が鍵だ。この絶望から人類を救い出す鍵なんだ」
「オレが………」
エレンは俯いた。
思い出される記憶…父親の事、殺された母親の事、自分が心に決意した事は何だったろうか。
そう、一匹残らず巨人を駆逐する事
「おい、さっさと答えろグズ野郎。お前がしたい事はなんだ」
リヴァイがエレンに問う。
顔を上げたエレンの瞳は怒りに満ちていた。
「調査兵団に入って……とにかく巨人をぶっ殺したいです」
「ほう、悪くない…」
少しの間沈黙になり、リヴァイがエレンの側に近付き、鋭い眼差しで暫くエレンを見つめる。
「エルヴィン、こいつの責任は俺が持つ。上にはそう言っておけ。俺はコイツを信用したわけじゃない、コイツが裏切ったり暴れたりすればすぐに俺が殺す」
その言葉にエレンの肩がビクリと上がる。
「上も文句は言えん筈だ。俺以外に適役がいないからな。認めてやるよ、お前の調査兵団入団を」