第18章 #18 動き出した王政
作戦を開始して暫く、順調にきていたところでエレンとヒストリアを連れた馬車が人混みに止まってしまった。
その時、キュルキュルというワイヤー音と共にリリアの隣にリヴァイが降りてきた。彼が来たという事は替え玉作戦の方は順調なのだろう。
リヴァイはリリアの無事を確認すると彼女が屋根から落ちないよう、肩を支えた。
「兵長」
「どうだ」
「道が混んでいる以外異常ありません。ピクシス司令の宿舎まであと少しです。替え玉作戦の方は?」
「成功だ」
成功、という割にリヴァイの表情はあまり明るくない。
ニファが首を傾げる。
「その割には浮かない顔ですね」
「いや…」
替え玉作戦の方、変装したエレンとヒストリアを拐ったのはリーブス商会の人間だったらしい。
彼らは素人、そこがリヴァイが引っかかって仕方ない所だった。
(何か妙だ。中央憲兵が使う手じゃない。やつらは気位が高い、素人は使わない。どこかでこういう……もしあの馬車を尾行するなら…目標を集団でつける時は……)
するとニファがリリアとリヴァイの姿を見て疑問を口にした。
「あの、こんな時にアレなんですが。リヴァイ兵長とリリア兵長ってお付き合いされてますか?」
「…………は?」
リヴァイが眉間にシワを寄せて固まり、リリアは驚いた表情をしてニファを見た。
するとニファが指をさす。
「だって今もリヴァイ兵長、リリア兵長が落ちないように肩、抱いてますし普段も仲良いですよね。結構噂になってますよ」
リヴァイはパッとリリアから手を離した。
無意識にリリアの肩を支えていたようだ。
「別に付き合っていないよ。噂が立つような関係じゃない。リヴァイと私は師弟みたいなものだよ」
「そうなんですか?」
リリアが答えるがリヴァイは顔をそらしたまま答えない。
この無意識の行動を再び指摘されて少々動揺しているようだ。
リリアは調査兵団なのだ、バランス感覚は良く屋根から落ちることなど滅多にない、例え落ちたとしても立体機動装置があれば問題ない。
それを分かっていながらリリアを支えている自分の行動、これは周りからはそう見られてしまっても仕方がない。
しかも"あの"リヴァイだ、他の者には絶対にしない。