第3章 #03 エレンの審議
憲兵団に通された薄暗い地下牢、その中の一つにエレンはいた。
まだ彼は眠りについたままだ。
「チッ…まだ寝てやがる」
「疲れているんだろう、もう少し待とう」
エルヴィンを置かれた椅子に座らせると、リリアとリヴァイはエルヴィンを挟む形で横についた。
ジッとリリアが眠っているエレンを見つめる。
「彼が巨人にね……」
「にわかには信じられない事だがな。しかし事実だ、そして我々には彼の力が必要だ」
「本当にコイツの家の地下室で巨人の謎が分かるのか?嘘を言っている可能性だってあるだろうが」
リヴァイの言葉にエルヴィンが首を振る。
「彼が嘘をつく理由がないよ」
しばらく待っているとエレンが目覚め、飛び起きた。
動揺しているのか目を見開いたまま、前方にいる3人を視界に入れる。
するとエルヴィンが穏やかな口調でエレンに話しかけた。
「何か質問はあるか?」
エレンはまだ思考が追いついていないようだ。
(調査兵団実行部隊のトップ、エルヴィン団長とリヴァイ兵長、リリア兵長……)
「あの……ここは…どこですか」
「見ての通りだが、地下牢とだけ言っておこう。今君の身柄は憲兵団が受け持っている。先程ようやく我々に接触の許可が取れた」
エルヴィンがリリアから預かった鍵を取り出しエレンに見せる。
自分の首元にかけていたはずの鍵が何故エルヴィンの手元にあるのか、エレンは少し慌てたようだった。
「その鍵は…」
「あぁ、君の持ち物だ。後で返すよ」
エルヴィンは鍵を直すとエレンを見つめた。