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誰が為に心臓を捧げる【進撃の巨人】

第17章 #17 エルヴィンの想い



「まだリリアが小さい頃に俺が訓練兵に入ってなかなか家に帰れなくて……久し振りに会ったお前はどんどん大きくなって…女性らしくなっていった」
「そりゃあ……大きくなるよ」
「美しくなった」

エルヴィンはリリアに近付き唇で耳元に触れた。
息が吹きかかりリリアの肩がピクっと上がる。

「お兄ちゃん……」

不安そうな声にエルヴィンは苦笑いをするとゆっくりリリアから離れ、頭をポンポンと叩いた。

「離れていたらお前の事ばかり考えているし最近では近くにいたら触れたくて仕方ない。しかしそうだな、お前の言う通り俺とお前は世間では兄妹だ。血の繋がりの事を知らない者も多い。だからこの事は俺とリリアの秘密にしよう」

リリアが頷く。

「あとこれは俺の個人的なリリアへの想いだから返事は要らない。この先、お前にも好きな者が現れるかもしれないからな。その時は兄として祝福するさ」
「そ、そんな人いないよ」
「この先は分からないだろう?」

大きく首を振ってリリアがエルヴィンに抱きつく。

「……だから今だけ俺の特権でお前の事を想わせておいてくれ。頭の片隅に置いてくれたら良い。いつかリリアに相応しい人が出来るまで、な。俺はそれで良い」

エルヴィンは再びリリアの頭を撫でた。
ゆっくりとリリアが顔を上げエルヴィンを見つめる。

「私はお兄ちゃんを超える人じゃないと無理だよ。それに私…嫌だったの」
「何が?」
「お兄ちゃんにキスされた時、私以外の人にそんな事するの……考えたら凄く嫌だった。お兄ちゃんは私のだって…独り占めしたかった」
「そうか」

リリアが苦笑いをするとエルヴィンはリリアの顎を引き上げて軽くキスをした。

「今日は意識飛ばないの?」
「……それは忘れてくれないか…人生最大の失敗だ」

あはは、と二人は笑った。
そして再び優しいキスをする。何度も、何度も。
触れるだけの、優しい、優しい口付けを。


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