第16章 #16 巨人の正体
「でもそう簡単に、あげない」
「エルヴィン…テメェな……勝手に俺の気持ちを解釈すんな…誰がリリアの事が好きだって?俺は……!」
「俺は別にお前がリリアを好きとは口にしていないが?」
「っ?!」
口を開けたままリヴァイが固まった。
やられた…。
エルヴィンはリヴァイの口からリリアへの想いを吐くのを待っていたのだ。
リヴァイはとても大きくため息をつくと、下を向いて項垂れた。
「本当にムカつく野郎だな…」
「褒めてくれてありがとう」
「褒めてねぇよ」
リヴァイはダンッと床を蹴ると立ち上がり、乱暴に部屋を出た。ふふふ、とエルヴィンが笑う。
リヴァイは歯を噛みしめながらその場から離れた。
表に出していたつもりはなかったのに、無意識の行動をエルヴィンに見透かされてしまっていたようだ。
しかし段々と気持ちが落ち着き、足を止めた。
着いた場所はリリアの部屋の前、これもまた無意識。
自分の行動にリヴァイが落ち込む。
これではあのエルヴィンにはバレるはずだ。
リヴァイがコンコンとドアを叩くが、返事はなかった。
少しだけ扉を開けて中を確認すると、ベッドに寝ているリリアを確認出来る。
定期的に布団が上下に動いている、どうやら寝ているようだった。
安堵してドアを閉めるリヴァイだったが、ドアノブに手をかけたまま固まった。
「……なんで鍵かけてねぇんだよ…」