第15章 #15 離ればなれの不安
すると治療が終わったのだろう、一人の兵士がリリアとリヴァイに声を掛けた。
「リリア兵長、リヴァイ兵長、団長の処置が終わりました。こちらへどうぞ」
通された部屋には治療を終えたエルヴィンが横になっていた。
リリアが駆け寄る。
「お兄ちゃん!!」
「リリア、大丈夫だ。腕が無くなっただけで他は何ともない」
エルヴィンが左手でリリアの頭を撫でる。するとエルヴィンは後ろにいたリヴァイに声を掛けた。
「リヴァイ、すまないが負傷者とエレンの状態を確認してきてくれ」
「あぁ」
リヴァイが部屋を出たのを確認すると、エルヴィンはゆっくり起き上がった。
痛そうに顔を歪めている。
「リリアと立場が逆になってしまったな。だが怪我の度合い的にはお前の方が酷いんだ。今、体はつらくないか?」
「私の事なんて気にしないでよ…」
「…お前の不安はこれだったんだろうな。暗示だったのか……しきりに右腕を気にしていたからな」
エルヴィンが再びリリアの頭を撫でる。
「命に別状はないが、リリアを両手で抱きしめることが出来なくなった事だけが難点だな」
「お兄ちゃん…!もう…」
リリアがギュッとエルヴィンを抱きしめる。
「私がお兄ちゃんを抱きしめるから問題ないよ」
「そうだな……リリア…痛い」
「あっ!!ごめんなさい」
慌ててリリアが離れると、エルヴィンは笑った。
「じゃあちょっとだけ、リリアに甘えようか」
「ん?何?」
「リリア靴脱いで、おいで」
リリアが首を傾げる。
言われた通りに靴を脱ぐとエルヴィンに引っ張られ、リリアはエルヴィンの太腿辺りに跨るように乗った。