第15章 #15 離ればなれの不安
もう陽はほぼ落ちていた。
なかなか戻ってこない兵士達、リリアも膝を抱え込むように座り込み、早く帰ってくるよう念じて待っていた。
隣でリヴァイも静かに報告を待つ。
その数分後だった。
壁の上から見張をしていた兵士が声を上げた。
「戻ってきたぞ!!」
「っ!?」
兵士達が戻ってきた知らせにリリアは立ち上がった。
「負傷者多数!!救護班早く!!団長が重症だ!!」
「えっ…?」
その言葉を聞いたリリアが飛び出す。
今、何と言っていた?団長が重症?
担架に乗せられて運ばれてきたエルヴィンにリリアが駆け寄ると、その姿にリリアは息を飲んだ。
エルヴィンの右腕がない。
「おに……団長!!腕がっ……」
「リリア兵長、直ぐに処置をしますので!!」
エルヴィンはそのまま運ばれ、リリアはその場から動けなかった。
肩で息をし、呼吸が荒い。リヴァイがリリアの腕を引き自分の方へ向けた。
「リ…リヴァイ……どうしよう…どうしよう……お兄ちゃんが…お兄ちゃんが!!」
「落ち着け、腕はなくなっちまったが生きている」
「……そ、そうだね」
リリアの体がカタカタ震えている。かなりの動揺が見られるが、リリアは気丈に振る舞おうと震える手を握りしめていた。
エルヴィンの治療が終わるまで、リリアは外で気持ちを落ち着かせていた。
その間ずっとリヴァイは後ろから見守っていたが、その表情は厳しかった。
自分が怪我をせずエルヴィンに付いて行っていれば、こんな怪我をさせずに済んだだろう、そう自分を責めた。